舞台 刀使ノ巫女 感想
先日、舞台 刀使ノ巫女を観劇してきた。初めて舞台というものに生で触れた。
自分は原作の方、もっと言うとアニメのファンなのでそちらの方に貢ぐべきなのだが、それ以上に興味が勝ってしまったためつい観に行ってしまった。
結論から言うと(金を取っている以上当然なのだが)面白かった。
語彙力も表現力も感受性も貧弱なので読んでいて退屈しそうだが、記録がてら思うところを原作ファン目線で述べていきたい。
良かった点
- 再現度が高い
- まずビジュアルの再現度が高い。髪型、服装、靴、全てが原作そのままである。ビジュアルだけでなく、話の内容も刀使ノ巫女、胎動編そのもの。公式だけあって流石に再現度が高い。
- 舞台特有の表現
- 歌、踊り、殺陣。今回舞台を観劇しに行った目的の8割はこれと言っても過言ではない。開幕からキャスト勢揃いで豪勢な歌とダンスを披露されて、一気に舞台上の世界に引き込まれた。スクリーン等の舞台装置を使った写しや荒魂の表現なんかも面白いよね。あとは憑依芸の演出なんか印象に残った。
- 脚本
- これは観る前から期待していた要素では無かったが、最終的に最も注目することとなった。というより注目せざるを得なかった。というのも個人的に胎動編の構成はお気に入りなので、どのように再構成されているのかといったところが自然と目に入ってしまうのだ。結果としてはおよそ二時間という尺でこれ以上ないくらい胎動編が再構成されていた。
- 演出面(脚本とワンセットではあるが)
- キャラクターの関係性、この演出が大変優れていたように感じられた。胎動編の主軸となってくるのはやはり、可奈美と姫和の関係性。二人の関係性の変化が物語のキモなのである。舞台では尺の都合上オミットされた描写も多いのだが、ここだけは確実に抑えていたのが好印象。親衛隊の立ち位置についても上手く関係性が反映されていたと思う。
- 演技
気になった点
- 再現度が高すぎる
- 本当に台詞からそのまんま胎動編なせいで、省いた分と多少チグハグに感じるところがあったので、もうちょっと舞台用に改変しても良かったのではないかと思う。具体的に言うと舞衣の決意のシーンとか。個人的には結芽の違った結末なんか描いても面白かったんじゃないかと思う。これだけ完全に胎動編をやり切ったなら波瀾編まで頑張って繋げて欲しいですね。(キャスト的に難しそうだけど)
- 中盤のアクションシーンが少し物足りない
- アニメで言う3〜7話*1の部分をもう少し頑張って欲しかった。歌とダンス以外にも、もうちょっと見ごたえのある殺陣が見たかった。自分は3,5,7話の剣戟シーンを特に気に入っているのでちょっと残念。
- キャスティングの方法が不誠実
- キャストの方々は頑張っていただろうし、良い演技をされていたので、あんまり言及すべきじゃないかもしれないけど流石にちょっと…アイドルグループから選ぶのなら、メンバー本人の意思に委ねるようなもう少しマシな選抜方法は無かったんですかね…
まあ列挙していくとこんな感じ。
もうちょっと脚本・演出面について語りたいので語らせてもらうと
- 1話ラストの可奈美の手を取らない姫和、といった描写をの最初の出会いのシーンに持ってきた点
- ラスト二人の寄り添ったシーンに対してこの出会い時の最初の関係性の描写は必須。自分が胎動編で一番好きな対比描写。これを序盤に見せられたら演出面に注目して観ざるを得ないよね。
- 高津学長が任務に失敗した沙耶香を叱責する際に妙法村正を眺めるシーン
- ここは素直に良く出来ている描写だと思った。雪那の沙耶香に対する認識ってそういうことなんですよね。
といった点が印象的だった。あとは結芽の描写が自分の解釈*2と一致していた点だったり、11話での沙耶香に対する夜見の言葉がよりはっきりしていた点も面白かった。
正直面白かったと言っても舞台という媒体の初体験そのものを楽しんでいた部分が大きいと思う。良い体験が出来たと感じた反面、もうちょっと役者の演技に注目すれば良かったという後悔も大きい。しかしながら、それでも確実に楽しめる作品であったと言える。
それと舞台というメディアそのものに関して、日頃から映像作品に慣れ親しんでいる身としてはカメラではなく、スポットライトで、その上最終的には自分が目線を決める必要があるといった所が新鮮だった。また、キャストや観客含めた舞台の雰囲気といったものが大変良かった。キャストも観客も真剣に舞台に向き合っていて、熱気あふれる空間になっていたように感じた。
思うところはそれなりにあるんですけど、刀使ノ巫女を舞台といった形で見る機会が得られたことは素直に喜ばしいことだったのかなと思います。次の機会があればぜひまた観劇しに行きたいですね。